戦略は“簡単”か“難しい”か?

ビジネス

フレームの〈型〉 vs 現場の〈成果〉を対比で読み解く

形は作れる。だが、成果は別物。――このギャップを埋める3つの鍛え方を、具体例と対比で解説します。


この記事でわかること

  • 見かけの容易さ vs 実際の難しさ
  • フレームワークがくれるもの vs くれないもの
  • 良い戦略の「核」 vs ありがちな落とし穴
  • 鍛え方(3つ):思考の型/小さく試す/実行OS

導入:なぜ「戦略は簡単そう」に見えるのか vs それでも難しい本当の理由

  • 簡単そうに見える側
  • 汎用フレーム(5フォース、SWOT、BMC)で“形”はすぐ整う
  • 成果は数か月〜数年後に出るため、短期は自己評価が甘くなる
  • スライド化で「分かった気」になりやすい
  • 実は難しい側
  • 相手は複雑系:因果が揺らぐ中で仮説→試行→学習が必要
  • 戦略の核(診断/指針/一貫行動)が揃ってはじめて機能
  • 実行の摩擦(調整・予算・現場伝達)で価値が目減りしがち

対比表①:フレームが「くれる/くれない」

フレームがくれるフレームがくれない
語彙と観点のチェックリスト事業特有の真のボトルネック診断
整理された図と共通言語どこに集中し、何を捨てるかの決断
議論の土台資源配分の痛みを伴う一貫行動
初学者の入口現場を動かす実行の仕組み(OS)

対比表②:良い戦略の「核」 vs よくある失敗

良い戦略の「核」よくある失敗
診断:真の制約・機会の特定表層の事実羅列/原因が曖昧
指針:やる/やらないの明確化全部やる方針/矛盾する掛け声
一貫行動:資源配分まで落とすスローガン止まり/優先順位が動かない

3つのポイント:こうする vs こうしない

  1. 思考の型を持つ(戦略カーネル)
  • こうする:診断→指針→一貫行動A4一枚で可視化
  • こうしない:スライドを増やし核が薄まる
  1. 小さく試して学ぶ(実験的アプローチ)
  • こうする:小規模・短期間・低コストで仮説検証→学習で微修正
  • こうしない:一発で当てにいき調整不能
  1. 実行の仕組み(OS)を整える
  • こうする:OKR/BSC/定例レビュー可視化→配分変更
  • こうしない:年次計画の読み合わせで終了

トレーニング法:机上の理解 vs 現場で効く鍛え方

1) 1枚戦略メモの習慣化

  • 机上:スライド多枚化で要点が散る
  • 現場:A4一枚に「診断/指針/一貫行動」を固定
  • 例(エネルギー企業):
    • 診断:政策支援×市場成長/制約は製造コスト
    • 指針:コスト低減に集中、販売網は提携活用
    • 一貫行動:パイロット生産→並行でパートナー開拓→半年で事業判断

2) アウトサイドビュー+プレモーテム

  • 机上:自社都合の見立てで楽観
  • 現場:類似案件の実績値で外枠→事前に失敗理由を言語化
  • 例:許認可遅延/資材高騰を主要リスクに設定→代替サプライヤー事前契約でショック耐性

3) KPIレビューと学習ループ

  • 机上:集計だけの定例
  • 現場:兆候→仮説→顧客検証→改善週次ループ
  • 例:問い合わせ増×転換率低下→顧客インタビュー→資料修正→転換率2倍

まとめ:見かけの“整い” vs 本当の“効き”

  • 整い:フレームで形は作れる
  • 効き:診断の深さ/明確な指針/資源を動かす一貫行動実行OS
  • 次の一歩:直近テーマを1つ選び、A4一枚の戦略カーネルを作成→チームでレビュー

配布用テンプレ(コピーして使えます)

1枚戦略メモ(戦略カーネル)

  • 診断:真の課題/制約/機会は?(根拠データも一行)
  • 指針:何に集中し、何をやらないか?(優先順位・非優先)
  • 一貫行動:資源配分・ロードマップ・測定指標(いつ/誰が/何で測る)

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